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2008/11/28

食べる女

物を食べる姿は、時にとてもエロティックである。

きっと、本能が垣間見えるからなのだろう。

『青いパパイヤの香り』という映画があったが、そこで果物をひたむきに食べる女性とそれを眺める男性がなんだかとても艶かしく、美しかったことを思い出した。

この『食べる女』は、実は食べる描写に関してはほとんど記述されていないのに、生活の中のほんのひとときの食事の時間や食べ物の描写が、なぜか鮮烈に印象に残る。また、それがエロティックな描写をより艶かしくしているように思える。

それは、シャバシャバシャバと食べる卵かけご飯や、昔ながらのラーメン、むぎゅむぎゅと捏ねるひき肉料理、特製肉じゃがに、塊肉から作るメンチカツ、家事の才能に目覚めた男性が作る天麩羅、年に2回は必ず作る3種類のおはぎに、こだわりのお豆腐、お母さんのポテトサラダ、色とりどりのビタミン剤やハーブティーなんてものもある。

どれも普通の食事なのに、これがやけに美味しそうで、読んでいくうちに体がこれらの食事を求めはじめる。

人は食べて、寝る。そして、時に性的欲望を満たす。

それは美食ではなくとも。

シンプルに、体が欲するように。

生きていくために。

全体的に良い香りのする、そしてなぜか少し満ち足りた気分になれる素敵な本だった。

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